ICN Merger Workshop Melbourne 2020
https://gyazo.com/9f2920e05dc14a1feac0f09a06238615
国際交流
弁護士中心のもの
ABA
IBA
研究者中心のもの
当局中心のもの
OECD競争委員会
ICN
いくつかのワーキンググループ
cartel
unilateral conduct
merger
など
年次総会
ICN Merger Workshop Melbourne
https://gyazo.com/f56ed5390de8908fa18cea193156238c
主な話題
digital merger
killer acquisition
conglomerate merger
national champion
gun-jumping
など
「Breakout discussion of the plenary topic」メモ
2020年2月27日(木)11:00 am - 12:30 pm
セッションは、あらかじめ電話会議やメール同報などによって共有されていた各パネリストの関心を参考としてモデレータが作成した筋書きに沿って、各パネリストに発言を求めつつ、1人のパネリストの発言が終わるごとに質問を受け付けながら柔軟に筋書きを変更する、という方法で進められた。また、スライドなしで随時柔軟に発言を求めていく方法をとることが知らされていた。そこで、白石としては、一般的な内容を取り上げるのは難しいと感じたので、公取委の最近の事例から、①長崎地銀事例、②USEN/キャンシステム、③エムスリー/日本アルトマーク、の3件を用意し、事例メモを前週末の段階で他のパネリストにメールで共有していた。
白石からは、まず、長崎地銀事例の論理が因果関係論であること、市場シェアが高くなるデジタル企業結合などでこの考え方が濫用されないよう射程を狭くすべきであること、USEN/キャンシステム事例では狭義の破綻企業論の成立が否定され因果関係論としての破綻企業論でクリアランスが行われており破綻企業論における立証負担の割り振りや因果関係論による現実的処理の事例として注目されること、を発言した。
討論の過程で、(たぶんSiemens / Alstomなどを念頭に)ナショナルチャンピオン論(国内企業を優遇する考え方、と理解)が話題となり、他のパネリストが発言したところ、フロアから、日本の状況をききたいとの要望が出た。そこで白石から、次のように説明した。日本公取委は常に、内外平等、既存・新規参入平等の論理を志向しており、ナショナルチャンピオン論を採用する可能性は低いのではないか。政治的要望は常にあり得るが、ナショナルチャンピオン論のような国内優遇理論でなく、長崎地銀事例の対馬等3経済圏の場合と同様に競争法の新たな理論を生成させて(figure out)対応する可能性が高い。以上のように説明した。
討論の過程で、(スタートアップ企業の買収の問題などを念頭に)over-enforcement (false positive)とunder-enforcement (false negative)の問題が話題となり、モデレータから、白石からも何か発言がないかと促された。そこで、次のように発言した。競争法のなかでは、企業結合規制だけが、当局に事前規制が許されているツールとなっている。エムスリー/日本アルトマークの事例は実行済みとみられる企業結合に対して公取委が問題解消措置を求めた事例であるが、実行済みであるならなおさら問題ある単独行為が行われるまで待てばよいという論もあり得る一方で、立証が難しくなるなどデメリットもある。将来の蓋然性を示せば足りる企業結合規制を用いて一定程度の事前規制をすることは有益ではないか、という発言を行った。
この点について、あるパネリストからも、個人の意見としてはover-enforcementでよいと思っている、なぜなら、over-enforcementであれば名宛人は裁判所で争えばよいのに対し、under-enforcementであればその事例が御蔵入りになってしまい誰も争えないからだ、という趣旨の発言があった。
外国からの投資を呼び込むための企業結合規制の在り方、という角度からの討論も行われ、審査基準・審査手続の両面から議論がされたが、白石からは、審査基準(違反要件)を操作して外国からの投資を呼び込むというより、審査基準・審査手続の両面において透明性と予見可能性を高めることが外国からの投資を呼び込むことにもつながるのではないか、との旨の発言をした。